本を使ったしおり型ゲーム”Brave the Book”のplaying report

print and play(自分で印刷して遊ぶゲーム)を紹介しているTKDK PNPというブログを読んでいたら、本のしおり型のゲームが紹介されていた。*記事へのリンクは下記

Brave the bookというこのゲームは、Board game geekというサイトで募集されていた、ボードゲームのアイデアコンテストに応募されていた作品のひとつのようだ。「本の文章/文字を使ってモンスターを倒す」というコンセプトがとても変わっている。このルールは、以前に本ブログで記事にした(下記リンク)「目に視えるものだけが世界の全て」以来の衝撃だった。

このBrave the Bookのゲーム説明で特に気に入っているのが、Defeat those monsters with (s)words from the book’s text to set the bookmark free!という文言。世界観としては「しおりが本の中のモンスターによって捕われてしまったので、本の言葉を使ってモンスターを倒し、しおりを解放してあげよう」というもの。この「本の言葉」のword(言葉)をsword(剣)とかけているのだ。おしゃれである。ユーモアに溢れている。言葉で遊ぶなら言葉のセンスで戦えというわけだな。

これはあそんでみたい。

モンスターの名前の文字が文中に含まれていたら倒せる、というルールなので、選ぶ本によって難易度が変わるという点も面白い。家にある洋書が全てノンフィクションで「これじゃない感じ」だが、しかたないので今ある本でとりあえず遊んでみることに。

ルールはTKDK PNPの管理人ゲムノスケさんにもらった日本語訳を参考にしつつ、最新版のルールが多少変更になっていたので自力で訳したりデザイナー本人に確認したりして遊んだ(作者に聞けるのはBGGフォーラムのいいところ)。ちなみにそのフォーラムはこちら。印刷して遊びたい方もこのリンクからpdfにたどり着けます。

今回のゲームに使用したのは「Building Blocks of Tabletop Game Design」というゲームデザインの辞書のような本。全ページ491、分厚い。まずしおりを最後のページに挟んで、ゲーム開始。(下記写真はゲーム開始時の状態)

1段目のモンスター(OGRE, TREANT, CRAB)から倒していく。倒すモンスターを自分で一匹選ぶ。TはTheとかで出現頻度が高そうなので、TREANTを選んでみる。

次に任意の数字を決める。この数字が、「移動/Move」「攻撃/Attack」の両方に使われる。
たとえば10を選んだ場合、ページを10進める(移動)。それから進んだ先のページで、はじめから10単語目までの中に、モンスターの綴り全てが含まれていたら攻撃が成功になり、次の階層へ進める。

最終的に進んだページが今回のゲームの成績になるのだが、少ない方が良いのでなるべく小さい数字を選びたい。ただしそうすると、攻撃に使える単語の数が少なくなるので、綴りの文字が全て見つからないリスクが高くなる。

同じモンスターに2回敗北するとゲームオーバーなので、失敗はせず最低限の単語数でモンスターをやっつけたい。こういうジレンマが再現されている。

さて、私はひとまず11を選んだ。なので11ページ進んで、11単語分で攻撃をする。はずなのだが、このゲームにはskill pointというボーナスがある(だいぶ開発後期に追加されたルールのようだ)。

ゲームのはじめから1 skill pointが与えられていて、階層が進むごとに+1されていく。ターンごとに使ったskill pointはリセットされる親切設計。

1 skill pointで、「攻撃に2単語追加」または「移動から1ページ引く」のどちらかができる。

私はskill pointを単語の追加に使用し、11ページ進んで13単語からモンスターのTREANTを探すことにした。紙に書いて計算しながら進める。

下記写真は、11ページ進んだ後の結果である。(今見たら、13ページ目に進んでおり間違えて遊んでいたようだ。1ページ進んでしまって損しているのでよしとしよう)青で囲った13単語中、TREANTはだいぶ少ない単語でクリアできていることがわかる。13単語も使う必要なかったようだ。ひとまず1階層目のモンスターは一発クリア。

次に、2階層目のモンスターを選ぶ(下記写真)。TROLL, BEETLE, DEMONのうち、本にdice rollなんてワードが出たら、一気に倒せそうだと踏んでTROLLを選ぶ。

数字は1階層目の結果を踏まえて、かなり減らした5で挑戦することに。本来のページ数12から5を足した17ページ目へ移動。選んだ数字は5だけれど、2 skill pointを持っているので4単語を足した9単語からTROLLの文字を探す。

ここで17ページ目に見出し文が現れる。見出しを一単語として扱うのかは書いていなかったが、見出しか本文か判断がつかないこともあるだろうからとりあえず区別せず進めることに。ここでも運良く、かなり少ない単語でクリアしてしまった。(今考えたら、word(単語)からモンスターの文字を探すというルールだから、タイトルの[STR-06]は含めるべきじゃなかったと思う)

期待したwordは出なかったが、Lがたくさん出現して楽々TROLLクリア。

順調に3階層目へ。GOLEM, CENTAUR, HYDRAから選ぶ。BGGの開発中フォーラムによると、各アルファベットの出現頻度や文字の数による難易度から独自の計算式で、階層内のモンスターの勝率が同等になるように計算しているようだ。出現頻度のsource論文が掲載されていたり、ちょっと詳しそうな人によるアドバイスなど行われていて、読むだけで面白い。

BGGフォーラムより抜粋、難易度調整の式。(ここからまた改良されているとは思う)

計算されているとはいえ、文字数の多いCENTAURはなんだか倒すのが難しそうに感じる。さっきLがたくさん出てきたのに味をしめたので、GOLEMを選ぶ(下記写真)。

数字はいくつにしようか?さすがにさっきよりは難易度が上がっているはずだから、5では心許ない。

きりのよい10にした。3階層目なのでskill pointは3になった。3使うことで、1つ好きな文字を見つけられるお得なボーナスがある。今回はskill pointをこれに使ってみようと思う。

このskill pointがあることで単調さを解消しているのだが、そのせいで難易度が下がりすぎてしまう原因になっている気がする。初期のルールだとskill pointが存在せず、特定のモンスターを倒すことで宝箱を手に入れ、宝箱によっていくつかの特殊効果を使えるものだったようだ。

さて3階層目の戦い、17から10進んで27ページ目、10単語からGOLEMを探す(下記写真)。27ページに進んでハプニング発生!?索引ページに当たってしまった。これはもしかしたら有利かもしれない、6単語でクリアしてしまう。

次は4階層目。これまで一度も失敗することなく進んでいる。下記写真のSPIDER, ELEMENTAL, GORGONから選ぶ。Sが出現頻度が高そうなので、SPIDERを選ぶ。英和辞書でもSとTは単語が多かった気がする(と思ったけど再頻出のアルファベットはEらしい)。

4階層目の数字は9を選んで、36ページへ。9単語+skill pointを使って2単語=11単語からSPIDERを探す。これも順調にクリア。こんなにさくさくと進むものなのだろうか?遊んで欲しい代表本とか紹介されていたら、その本で試してみたい。

次は5階層目のABONIMATION。モンスターはCYCLOPSとの2択だったけど、Cが2つあるのがどうも難しそうに見えたのでABONIMATIONを選ぶ。運が良ければ「ATION」はまとめて単語として出てきそうだ。

数字は挑戦して6、(下記写真)42ページ目へ進む。単語は10単語から。初単語で早速situationが出たので楽勝と思いきや、mがなかなか出てこなくぎりぎり最後の方でsimplyに助けられてクリア。いよいよ最後の階層へ進む。

最後は、2つのモンスター名がならぶ。大ボスと、二匹の子分たちの名前で1セットということか。(下記写真)

いわゆるラスボスである。12文字もあって手強そうだ。

最後はDRAGON DRAKESに挑戦、数字はここでも強気の6で。ページは42に6足して48へ(下記写真)、単語はskill pointを使って12単語から。惜しくもDとGが見つからずに敗北。

モンスターを倒せなかった場合、再び同じ階層のモンスターに挑戦することができる。同じモンスターに2回負けるとゲームオーバーになるため、次はもう一匹のモンスターLICH SKELTONSを倒すことに決めた。

失敗したくないので、15を選び63ページ目へ。15単語からモンスターを倒すことができた。最後の階層では6 skill pointあるので、最大2文字まで文中になくてもクリアできる。

最終的に63でクリアすることができた。ルールのバージョンが違うかもしれないが、掲示板では100~150の人が多いようだったので、私の感じた難易度と違う印象だった。

難易度は選ぶ本にだいぶ依存するのかもしれないが、もっといろんな本でチャレンジしたくなるゲームだった。

このゲームが募集されていたコンテストの条件は「手だけあれば遊べる(机とかいらない)」なのだが、どの文字が出たか書いて確認しながらでないと遊べなかった。文字数の多いモンスターになると、どこの単語で出てきたかを確認するのが結構面倒なのが欠点に感じた。

面倒なところはあるけど、それをもってあまりあるおもしろさがこのゲームにはあるので、本好きの人などにぜひ遊んでみて欲しい。

このゲームを遊んだ記録をするLog play sessionというサイトがあるので、ここで自分の記録を登録できるのも楽しい。登録しかできず、他の人の記録はみられないので、ランキングとか出てるとファンサイトっぽくなっておもしろいのになー。本によって難易度が変わるからこそ、多くの人がチャレンジしているのと同じ本でスコアを競い合いたい。

私の遊んだのとは別の初期バージョンだとは思うけれど、「The Hunger Games」で140スコア、「The Road」で217スコアというのを見た。フィクションの本で遊びなおしてみる必要があるかな。

BGGのフォーラムでは、同作者が別のしおり型ゲーム「Catuch & Read」というのも作っていて、次回はこれで遊んだplaying reportを書くよ。


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