ボドゲ旅行記/London

2019年7月のロンドン。

Playing with Money (大英博物館 企画展示「お金とゲーム」)

今回は大英博物館で、運よくボドゲ関連の展示企画がされていた。「Playing with Money: Currency and Games(お金とゲーム)」というタイトルで、博物館でコレクションしているボードゲーム内の「お金」をゲームのコンテクストを外して、実世界で起こっていたことと合わせて考えてみようという展示企画。

もともと大英博物館には「お金」をテーマにした常設展示部屋がある。しかし、これは実際に使われた現実世界のお金(円やドル札など)。

博物館がゲームのコンポーネントの展示をするなんて、ちょっと新しくてドキドキする。気合が入りすぎて結局繰り返し3-4回訪れてしまった(展示内容はずっと同じだけど、見落としがあるような気がして)。

大英博物館は、1900年ごろからおもちゃのお金を収集し、現在は600個以上のコレクションがあるようだ。モノポリーのお札などが一つ一つナンバリングされ、立派な棚に保管されているのだろう。人々の営みから生まれた物たち全てが、博物館のコレクションの対象となるのだ。

この企画は、モダンゲームと呼ばれる1900年以降に発売されたボードゲームを中心に展開されている。

最初の展示エリアは、モダンゲームが出始めた頃について。ボードゲームは、古くから遊ばれていたけれど、チェスや将棋を始め、狩猟や競争、戦争など肉体的活動を反映させたテーマが多かったそうだ。

一方1800年後半ごろ、アメリカではキリスト教の道徳を教えるような教育的なボードーゲームが遊ばれていた。例えばEarly board gameというキャプション下のすごろくのようなゲームは、Mansion of Happiness(1843)といいアメリカで生産された教育的ボードゲーム。戦略性は低そうだ。

それが1900年前半から、Pit(1903)The Landlord’s game(1904)のようなお金を扱うゲームが出始める。これまでにないテーマのゲームが出てきたのだ。このあたりはアメリカ社会の価値観のシフト(宗教上の厳格主義から資本主義社会へ)とリンクする。現実社会での人々の意識の変革が、そのまま新しいボードゲームのイノベーションへとつながったというのが興味深い。

Landlord’s gameの盤面

次のエリアは、モダンゲームが出てきた頃からもう少し先の話について。
1970年以降になると、アメリカやイギリスで起こっていたボードゲーム革命が減衰し、ドイツのデザイナーが強い影響を持ってくる。この頃に多く出されていたのは経済ゲームだった。

アメリカで出た初期の経済ゲームは、圧倒的にお札のコンポーネントが多かった。一方で、ヨーロッパで出されたゲームは、コインが多く使われていた。おなじみモダンアートのコインがここでは展示されているが、100,000ドル(約一千万円)がコインだなんてよく考えたら少し変だ。
ユーロゲームでコインが使われていることの説明として、現金主義であること、ハイパーインフレのせいで紙よりも金属でできたコインの方が物質として価値が高いと考えられていたことが挙げられていたけど、本当かはわからない。

紙幣の方が(印字された額は)高額なのに、そのもの素材としての価値はコインの方が価値が高いなんて、本質はどこにあるのかを試されているようで興味深い。ゲームの遊びやすさとしての視点を加えると、また価値のパラダイムシフトが起こるという何重にも入り組んだ価値構造。

遊びやすさの面から言えば、擦り切れたり破れたりなどの劣化が少ないのでコインの方が断然扱いやすいと思う。初期の電力会社では紙のお金が使われていたらしいが、「紙の無駄」「折れたりして使いにくい」「どれくらい持っているかわかりやすいからチップの方が良い」と批判を受けてのちに販売されたデラックス版ではチップに代わった歴史があるようだ。

1930-1950年ごろのボドゲのお札デザイン。シンプルで骨太でとてもいいし、手書きっぽい感じも心をくすぐられる。このお札が使われたのはFinance & fortune(1932)というゲームらしい。こうして見ると、古いボードゲームをほとんど知らないことに気づく。

次のエリアは、お札が一面に展示されている。ボドゲファンは、見ただけでどのゲームのお金か当てられるのだろうか。キャプション部分を写真に収め損ねたので、どれがどのゲームだかわからなくなってしまった。
現実世界のお札と同様に、ボードゲーム内のお札もどんどん大きさが小さくなってきている変遷を展示しているとのこと。お札も省スペース、省エネルギー化が進んでいたのか。

最後の展示は、バーチャルゲーム内で取引されるお金について。コンポーネントの「お金」だけがゲームのお金じゃない!

武器を買ったり売ったりすることで取引されているバーチャルゲーム上のfantacy moneyは、バーチャルではあるものの現実のお金に換算するとものすごい大きな額がゲーム内で日々取引されているようだ。額が大きすぎて、もうバーチャルのお金だからと見過ごせなくなってきているらしく、今後どうやら法の整備や課税なども進むとのこと。

展示スペースはあまり広くはなかったけど、ボードゲーム覚えたての私には情報がいっぱいでとても充実した展示だったように思う。

時間を調べておいたので、ギャラリートークにも参加できた。説明しているのは、この展示の企画キュレーターさん。老若男女、話に聞き入っていた。説明に書いていないこともたくさん話してもらったので、完璧には聞き取れなかったけど参加してよかった!

図録にはかなりの情報が書いてあって、これも買ってきてよかった(amazonでも買えるっぽい)。ボドゲの歴史、ドイツゲームが人気になってきた背景などお金以外の情報も盛りだくさんだった。

大英博物館 常設展示:ボドゲ関連

大英博物館には、常設でゲーム関連の展示がある。まとまってゲーム関連のエリアがあるのではなく、いろんなテーマのところに隠れて点在しているので、隅から隅まで展示を見ながら、宝探しのように見つけていくのが楽しい。

骨、岩などいろんな素材でできたサイコロ。
1-2世紀のサイコロ。6面以上ある。
これもサイコロ。人型?
“おそらく”ボードゲームに使われていた石盤。1-3世紀
ウル王のゲーム
チェスのピース
紀元前のボードゲームピース。

ボドゲバー「Loading」

ロンドンのはずれにあるボドゲバー。ゲームにちなんだカクテルメニューがあると知って、ドリンクを飲みに行ってきた。

棚にはたくさんのボードゲームが。地下にもプレイスペースがあって、デジタルゲームで遊んでいる人たちもいた。

ポケモンカクテルを頼んでみた。ジンベースの少しアルコール強めのカクテル。人工的な味のグミが添えられている。

他にも見て来たボドゲショップ。

これで旅行記は一旦終了。次はスイスにあるというボドゲ博物館に行きたい。


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