ハバゲームデザインコンテスト(HABA Game Design Contest)がたのしそう

このコンテストを知ったきっかけは、twitterでフォローしている下記2名の方のツイートでした。なにやらあのHABA(キッズ向けおもちゃ/ボードゲームの会社、木製が得意)がコンテストを実施しているらしいぞ!
参加したいと思ったものの、この企画の対象がアメリカ在住者のみということで、日本からの参加は残念ながら叶いませんでした。でもなんだかとても良さそうな企画なので、少し調べてみました。

HABA Game Design Contestの概要

2017年に始まったこの企画は、今年(2020年)で4回目。(4回のコンテストで1000ポンド=450kg以上のコマが送付された模様、キューブだと0.5g、動物コマは1~5gなのでざっと1つ1gと考えると45万個以上のコマが送られた計算)
HABAはドイツに本社のある会社ですが、この企画を行なっているのは本社ではなく、アメリカのHABA USAです。アメリカ在住者対象なのは、企画したのがHABA USAだったからなのですね。
*2018年と2019年は、カナダとメキシコも対象だったようです。

HABA USAの企画紹介ページ(企画openは2020/5/6、提出締切は2020/6/22)
まずコンポーネントキットを購入し(おそらく6ドル=およそ650円)、そのキットを使って新しいゲームを考案、そのアイデアを提出するというものです。提出した人は、HABAのサイトで使える6ドルクーポンがもらえるようです。(実質無料というやつです)

応募方法

webから申し込み、コンポーネントキットを購入します。HABA USAからキットが送られてきます。
キットを使ったゲームを考えたら、メールでゲームのタイトル・ルール・画像を送ります。最終選考候補の20作に選ばれた場合のみ、実際のコンポーネントを送る必要があります。
(詳しくは見つけられなかったけど、今年から感染対策のため応募形態が変わったとあったので、去年までは全作品送付だったのかもしれないです。)

応募するゲームの条件

  • 2-5人用、15-45分
  • ファミリー向け
  • 8歳以下でも遊べる
  • キットから最低3つのコンポーネントを使う
  • キット以外のコンポーネントを使っても良い(自作カード&ボード追加OK)
  • 使うコンポーネントの数に制限無し
  • 考案者が説明しなくても、読んだ人が遊べるルールブックにする
  • 作者が知的財産権、またはそのアイデアを使う権利を持っていること >盗作はダメ
  • テーマとメカニクスについて制限なし
  • 試作品でよい(アートは仮、または無しでもよい)

HABAから送られるキット

2019年は、キットの値段は5ドルだったそうです(およそ540円/2020年7月)。応募者にもらえるクーポンが今年は6ドルなので、キットも同じ6ドル(およそ650円/2020年7月)だと思われます。*2020年のキットの価格がサイトに載っていなかった。

倉庫がニューヨークにあり、コロナ禍で最小限のスタッフで運用しているためキットが今年は300セット(2019年の40%、ということは2019年は750セット送付)しか発送できなかったとのこと。値段が6ドルに上がったのも、この辺りの人員不足が関係しているのかもしれないと思います。ニューヨークは3月中旬から6月までロックダウンしていたので、5月の時点で企画をスタートさせたことから、企画者のpasssionを感じます。

キットの申し込みは、一家につき1つまでの制限がありますが、応募するアイデアについてはいくつでも応募できるようです。
送られるコンポーネントは「工場のコマの山からスコップですくったものを送っている」らしく、ダイスから動物、車などのコマ、くるくる回せるダイヤルボード、ポーンやディスクなどがランダムに入っています。

Board Game Geekのスレッドを読むと、車と道路のコマしか入っていなくて絶望している人もいました。

ランダムに与えられたコマから、アイデアを生み出すのは多様性が生まれそうで良いと思いました。届けられた時のワクワクもあります。
何よりHABA社のコマですから、カラフルでキュートなコマたちは眺めているだけで幸せな気分になれます。
一部では、このコンテストは余ったコマの処分が目的という説もありますので、ランダムにしておくことでその時余ったコマをHABA社の都合で入れられ、かつ数などの確認作業の必要もなく雑に梱包できるという発送側の実用性も高い方法です。

下記スレッドでは、届いたキットの写真をアップロードしている人たちがいます。
Board Game Geekの2020年 HABA Game Design Contestのスレッド

BGGスレッドより画面キャプチャ

Twitterで「HABAGameUSA, contest」で検索しても、キットや楽しそうな制作の様子をうかがい知ることができます。
https://twitter.com/search?q=HABAGAMESUSA%20contest&src=typed_query

選考について

選考プロセスや細かい数は毎年異なっている可能性がありますが、下記は2020年コンテストについて調べた内容となります。

まずは最終選考候補として、20作品が選ばれます。ここからさらに、最終選考で3〜5作が選ばれます。3〜5作の最終選考に選ばれた場合の賞品は下記3点。

  • ドイツ本社の開発メンバーによる商品化の検討
  • HABAのゲームセット
  • ギフトカード

ドイツHABAによる商品化の検討は、コンテスト設立当初(2017年)から継続している賞品のようです。これは応募者の大半と思われる子供にとっても、大人にとっても、かなり豪華で嬉しい賞品ですね。

過去の受賞作品

受賞作品は、ゲームタイトルと制作者名が掲載されているのみで、詳しいルールは載っていません。(画像がついていることもある)なのでタイトルと画像からルールを想像して楽しむしかありません。

2017年の受賞作品

上位2作品はドイツHABAでのテストプレイに進んだと書かれていますので、それ以降に発売された作品にアイデアが盛り込まれているのかもしれません。

HABA USAサイトから画面キャプチャ(2017年コンテストの上位2作品)

2018年の受賞作品

上位5作品がドイツHABAへ送られたようです。

HABA USAサイトから画面キャプチャ(2018年コンテストの上位2作品)

・2019年の受賞作品(HABA USAのページは発見できず)

下記上位5作品がドイツHABAへ送られたようです。

BGGスレッドから画面キャプチャ(2019年コンテストの上位5作品)

・2020年の受賞作品

(7月末に発表されるようなので、楽しみにしています)

US以外へ対象を広げることについて

BGGのスレッドでも度々書かれているように、多くの人がアメリカ以外からの参加を望んでいます。HABAとしては、海外発送費用の高さと、発送人員を確保できないという理由からアメリカ以外(特に北米、南米以外)への発送は見合わせているようです。

HABAの工場が、世界のどこにいくつくらいあるのかわかりませんが(ドイツ、フランス、アメリカあたりかな?)、HABAのUSA以外の支社と連携すれば、発送数が増えても対応しやすいのかなと思いました。

作品をレビューして選ぶのも結構時間がかかって大変でしょうから、そこまでしてやるメリットがHABA側にもないのかもしれませんが。

一応、日本からの参加を望む者の一人としてHABA USAにコンテストの拡大をリクエストしてみたところ以下のような回答をもらいました。

“最近、HABA各国同士の初めての販売ミーティングが行われました。国際間のコラボレーションをもっと増やすことがゴールです。チームメンバーにあなたの意見をシェアするのが楽しみです。”

具体的なことは何一つ書かれていませんが、少し良い返事をもらえたので今後に期待して待っていようと思います。

ゲームデザインのコンテストは他にもあると思いますが、おもちゃを作っているHABA社による企画ということでLight user向けのゲーム募集、それからコンポーネントから発送するというアイデア、コマのかわいさ、受賞作品に与えられた商品化の検討など、このコンテストにしかない魅力がたくさんあります。そのどれもが自分の趣向と合っていたので、特にこれにこだわって強く対象拡大を希望し続けたい所存です。

重要リンク

HABA USAのContestページ

Board Game Geekのスレッド:HABA USA Game Design Contest 2017

Board Game Geekのスレッド:HABA USA Game Design Contest 2018

Board Game Geekのスレッド:HABA USA Game Design Contest 2019

Board Game Geekのスレッド:HABA USA Game Design Contest 2020

最後に、楽しそうな開発の様子をtwitterから抜粋

Little j Gamesさんのハロウィーンテーマの作品
Reed Ambroseさんの羊のゲーム、羊を移動させるアクションゲーム
dickie adamesさん、バランスゲームかな
Mike Belsoleさんの魚と鳥テーマのロンデルゲーム
Robさんの豪華な装置を使用したゲーム
Chris Amburnさんのカエルのボードゲーム
Cardboard Edisonさんのテストプレイの様子

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